まるみワークス編集部でPC周辺機器を担当しているカイです。この記事は、赤軸・茶軸・青軸を、メーカー公称値と独立媒体の試験方法から比較します。編集部による実機試打や騒音測定ではありません。

先に結論:色は入口。メーカーとシリーズまで確認する

一般的には、赤軸は押下途中の段差がないリニア、茶軸はクリック機構を持たず触覚的な変化があるタクタイル、青軸は触覚とクリック音を持つタイプです。RTINGSもこの傾向を説明していますが、メーカーによって色体系は異なるため、色だけへ集中しないよう注意しています5

同じ茶軸でも、CHERRY MX2A Brownは作動力45cN・圧力点55cN、Gateron G Pro 3.0 BrownはOperation Force 55±15gfです。名称が同じでも、数値の定義、単位、許容差まで一致するわけではありません2,4

選ぶ順番は、リニア・タクタイル・クリックのどれを求めるか、作動力と圧力点、プリトラベル、完成キーボードの音、互換性です。「赤はゲーム、青は文章、茶は万能」という用途だけの決め方は避けます。

赤軸・茶軸・青軸の基本的な違い

| 呼び方 | 一般的な特性 | 押下中の手掛かり | 音で確認する点 | | --- | --- | --- | --- | | 赤軸 | リニア | 意図的な触覚の山を持たない傾向 | クリック機構はないが、底打ちや筐体音は残る | | 茶軸 | タクタイル | 作動点付近に触覚的な変化を持つ傾向 | クリック機構なし。静音を意味しない | | 青軸 | クリック系 | 触覚的な変化とクリック機構 | クリック音が周囲やマイクで許容できるか |

RTINGSは、クリック系をタクタイルの仕組みに音を発する内部機構が加わったものとして説明しています。クリックが押下時だけか戻りでも鳴るかなど、機構は製品ごとに異なります5

CHERRY MX2Aの公称値を比較

| 項目 | MX2A Red | MX2A Brown | MX2A Blue | | --- | --- | --- | --- | | 特性 | linear、クリックなし | tactile、クリックなし | tactile & clicky | | 作動力 | 45cN | 45cN | 50cN | | 圧力点 | 明確な圧力点なし | 55cN | 60cN | | プリトラベル | 2.0mm | 2.0mm | 2.2mm | | 総ストローク | 4.0mm | 4.0mm | 4.0mm |

Redは押下中の明確な圧力点を設けないリニアです。Brownは入力が作動する力と、指が触覚の山として感じる圧力点を分けて掲載しています。Blueも作動力と圧力点が別で、クリック機構を持ちます1,2,3

ここで注意したいのは、CHERRYのページ内でも見出しの「operating force」と詳細欄の「actuation force」でBrown・Blueの数字が違って見えることです。同社の詳細表示では、Brownを作動45cN/圧力点55cN、Blueを作動50cN/圧力点60cNと分けています。この記事もその区別に従います2,3

Gateron G Pro 3.0は同じ色でも数値が違う

| 項目 | G Pro 3.0 Red | G Pro 3.0 Brown | G Pro 3.0 Blue | | --- | --- | --- | --- | | Type | Linear | Tactile | Clicky | | Operation Force | 45±15gf | 55±15gf | 60±15gf | | Pre-Travel | 2.0±0.6mm | 2.0±0.6mm | 2.3±0.6mm | | Total Travel | 4.0mm Max | 4.0mm Max | 4.0mm Max | | Pre Lubed | Yes | Yes | No |

Gateronの表はgf、CHERRYはcNを使います。RTINGSは両単位を日常的な比較では近い値として読めると説明しますが、ここでは換算して同じ数字へ丸めません。メーカーの原表記と、何を測った値かを保ったまま見ます4,5

例えば、赤は両シリーズともリニアですが、G Pro 3.0 Redには±15gfの許容幅が記載されています。茶はCHERRYが作動と圧力点を分け、GateronはOperation Forceを55±15gfとします。青もプリトラベルがCHERRY 2.2mm、Gateron 2.3±0.6mmで、同じ色を同一仕様として置き換えられません1,2,3,4

音はスイッチの色だけでは決まらない

青軸系にはクリック機構があるため、クリック音という明確な違いがあります。しかし、赤軸・茶軸にクリック機構がないことは、完成キーボードが静音であることを意味しません。キーを底まで押した音、戻り音、ケース、プレート、マウント、吸音材、キーキャップ、机への響きが重なります。

RTINGSはスイッチ試験で荷重試験機を使い、作動力、移動量、荷重曲線を測定しています。一方、音はケース素材、プレート、マウント、フォームなどへの依存が大きく、直接の比較項目として評価していません。スイッチ単体の仕様表から完成品の音量を決めつけない理由になります6

共有スペースや会議用マイクの近くで使うなら、同じスイッチを載せた完成品を実際の配置に近い条件で聞くのが安全です。「茶軸だから静か」ではなく、クリック機構の有無と完成品の音を別に確認します。

どの軸が向くか

赤軸系が候補になる人

押下途中の段差やクリックを求めず、滑らかに動く感触を好む人です。反対に、作動点を指の変化で知りたい人や、軽いキーで意図しない入力が気になる人は、荷重とプリトラベルを試す必要があります。

茶軸系が候補になる人

クリック機構を加えず、押下中の触覚的な変化を求める人です。触覚の強さは製品ごとに違い、CHERRYとGateronでも公称値の示し方が異なります。「赤と青の中間」という一言だけでは選べません2,4

青軸系が候補になる人

触覚とクリック音の両方を入力の手掛かりにしたい人です。周囲の人、オンライン会議、録音へ音が入る環境では合いにくい場合があります。CHERRY MX2A BlueとG Pro 3.0 Blueでも作動力・許容差・プリトラベルが異なるため、青という名前だけでは決めません3,4

購入前は「スイッチ単体」と「完成品」を分けて試す

商品名を確認するときは、色の前にメーカー、シリーズ、世代、標準高かロープロファイルかを記録します。機械式、光学式、磁気式も別の仕組みです。同じ赤色でも、別方式をCHERRY MX2A Redの仕様で説明できません。

スイッチテスターは、リニア・タクタイル・クリックの好みを絞る入口になります。RTINGSも店頭展示やテスターによる確認を案内しています。ただし、単体テスターでは完成キーボードの大きなキー、ケースの響き、連続入力までは再現できません5,6

完成品を試せるなら、軽く作動させる、底まで押す、文字を続けて打つ、キーを押し続ける操作を分けます。共有空間では同室者の位置とマイクも含めて音を確認してください。ホットスワップの場合も、3/5ピン、ソケット、LED干渉、メーカー保証を先に確認します。

キーボード全体の選定順はキーボードの選び方にまとめています。同じ45gでも方式が異なる例はHHKB StudioとProfessional HYBRID Type-Sの比較で確認できます。HHKB Studioレビューはリニアメカニカルですが、赤軸という一般名へ置き換えていません。二重入力が出る場合はメカニカルキーボードのチャタリング対処を参照してください。

よくある質問

茶軸は静音スイッチですか

クリック機構を持たないことと、完成キーボードが静かなことは別です。CHERRY MX2A Brownは「クリックなし」ですが、底打ち、戻り、ケース、プレート、キーキャップなどの音は残ります2,6

赤軸ならゲームで有利ですか

色だけでは判断できません。作動力、プリトラベル、キーボード側の遅延や設定、ゲーム内の操作、本人の慣れが関わります。この記事では成績や反応速度の向上を保証しません。

同じ青軸なら別メーカーへ交換できますか

同じ色は互換規格ではありません。スイッチの方式、ピン、ソケット、寸法、LED、キーキャップの軸、保証条件を確認してください。感触と数値もメーカー・シリーズで異なります3,4

まとめ

赤軸は一般にリニア、茶軸はタクタイルでクリックなし、青軸はタクタイルとクリック音という分類が出発点です。ただし、色は仕様そのものではありません5

CHERRY MX2AとGateron G Pro 3.0を比べるだけでも、作動力、圧力点、許容差、プリトラベル、潤滑条件が違います。メーカーとシリーズを固定し、荷重表と完成品の音を分けて読み、最後は普段の入力に近い操作で確かめてください1,2,3,4